転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~

 数日後、魔獣の討伐を終えて執務室に戻ったアルフォークはふと違和感を覚えた。
 雑然とした執務室におかれた花瓶にささっているのは色とりどりの美しい花々。不思議な事に、助けた少女から貰った花は切り花にも関わらず、一週間以上経ってもしおれる気配なく時が止まったかのように美しく咲いているのだ。

 ある対象の時を止める魔法はかなりの高等魔法で、国に優秀な魔術師として認められた者だけが持つ称号である『筆頭魔術師』でさえ、成功するとは限らない。
 あの少女がその最高難度の魔法を使えるとはアルフォークには到底思えなかった。散らない不思議な花。それに、あの少女があれだけの重傷を負って命が助かったのは奇跡的だ。

「まるで奇跡の花だな」

 アルフォークは花束から花を一輪抜くとそれを紙で包み込み、験担ぎに魔獣の討伐に向かうときに身につける衣装のポケットに御守りがわりに入れた。

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