今年の夏は?

「僕は優奈さんのそーゆーとこも好き」
拓ちゃんの腕にギュッと力が入ってより密着する私たち。

「仕事人間の冷静クールキャラだけど、本当は素直で優しくて人の気持ちに寄り添うところが好き」
「そんなに優しくないよ」
正直言うとうちの兄嫁の『力士感』発言に心の中で吹き出してたし。
いや、あのセリフには感心してしまった。

「優奈さんが僕の家族に対して優しくしてくれると、僕も優奈さんの家族を大切にしようと強く思うよ」
「ありがとう」
拓ちゃんの方が素直で優しいよ。

一週間前くらいに社内で定年近い常務に会った。
常務は取り巻きの輪から飛び出して私の前にやってきて『結婚おめでとう』と、言ってくれた。こんなに広い社内で重役にまで広まっているとは思わず、私は照れながら『ありがとうございます』と答えると、常務は『一言だけアドバイスさせてほしい』と、ずるい笑顔で私にささやく。
そのアドバイスは『絶対相手の身内の悪口を言わない事』だった。
『それだけで大丈夫だ』そう言ってすぐ取り巻きの元に戻って行ってしまった。
呆然として後ろ姿を見てしまう。そのアドバイスがなんだか急に胸に沁みてきた。

今は大丈夫でも
これから色々とあるだろう。

今は互いを大切にして
できることだけやってみて

問題が起きてから考えよう。

石橋を叩きすぎる性格の私が楽天的になったのは、拓ちゃんのおかげだ。

「拓ちゃん」
「なに?」
「これからもよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」

甘く優しいキスを交わす私たち。

大好きな拓ちゃんの妻になります。
幸せになろうね。

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