青い夏の、わすれもの。
あたしは澪の気持ちを聞いて思ったことをそのまま口にした。


「諦めるなら、ちゃんと今までの気持ち、伝えて終わらせた方がいいと思う」

「爽...」

「だって、5年間も好きだったって事実は変わらないでしょう?努力出来なかったとかそういう後悔があったとしても、強く想っていたことには変わりない。

だからさ、最後くらいは自分の気持ちに正直になって、今までの自分にパンチを食らわせるくらい衝撃的でさいっこーの告白をしなよ。そうしたら、後悔なく終われると思う。

そうしなきゃならないんだよ、澪は。自分のためにも、ね」


澪は深く深く2度頷いた。

あたしの身勝手な思いだけど、届いたみたいだ。

後悔なく終えて次に向かう。

それはきっと...あたしも。

あたしも、次に進まなきゃ。


「わたし、風くんに告白する。この夏休みの間に必ず、ずっと先伸ばしにしてきた宿題を終わらせる。それと...」


澪の視線とあたしの視線が一点で交わった。

その瞳には、覚悟という名の赤い炎が宿っていた。


「魁くんにも返事をする。わたしの気持ち、ちゃんと伝える。だから、爽...」


澪があたしの左手に自分の右手を重ねた。


「わたしが出来なかったことを爽がしてあげて。魁くんのこと、必ず幸せにしてあげて。それが出来るのは...やっぱり爽しかいないと思うから」


澪...言ってくれるじゃん。

やっぱ澪は、あたしの親友だ。

さいっこーでさいっきょーの親友だ。


「おっけ。任せとけ」


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