青い夏の、わすれもの。
その日の帰り道のことだった。

朝吹くんが、「せっかくだから短冊に願い事を書いて飾って帰ろう」と提案してくれたから、私はフードコートのど真ん中に凛とそびえ立つ竹の側までやって来た。

子供から大人まで、たくさんの人が1枚の紙切れに願いを込め、筆を走らせていた。

私たちは小学3、4年生くらいの兄妹が願いを書き終えるのを見届けてから、テーブルに置いてある紙とペンを取って書き始めた。

私の横でスラスラと願い事を書いていく朝吹くん。

私は優柔不断でこういうのはすごく悩んでしまうタイプ。

外食の時、メニューを最初から最後まで舐め回すように見てもなかなか決められないような、ちょっと困った人なんだ。

その性格が直りますように、と願ったこともあったけど、1年に1度夜空に願いを馳せる日にそんなしょうもない願いでは、織姫も彦星も悲しんでしまう。

私は精一杯頭を捻り、願い事を決めた。

私の願い事は...


"世界が優しさと愛で満たされますように"


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