青い夏の、わすれもの。

澪side

8月15日午後17時~17時20分

花火大会特設ステージでの演奏


音楽室の掲示板にそう書かれた紙が貼り出されたのは吹奏楽コンクールが終わった直後のことだった。

あの一件で部内分裂が起こり、毎日衝突音が絶えなかった我が部を繋ぎ止めてくれたのが、花火大会のステージだった。

全国でも有名な花火大会の余興をやることが出来るのは、県内でたった1校のみ。

毎年主催者側が勝手に抽選をして決めるのだけれど、今回はあた高吹部創立以来初の選出になった。

わたしは毎年花火大会を訪れていて、その余興がどれだけ人気かを実感していた。

地元の吹部の他にも合唱部やバンドの演奏もあったり、わりと有名な芸人達を呼んでトークショーを開いたり、最後はビンゴ大会をやったりするから、大いに盛り上がる。

正直に言うと、そんな大きなステージの余興でわたしみたいなポンコツが出演しても良いものかと不安になっていた。

でも、このステージに出たいがために引退発言を撤回して残った3年生もちらほらいて、あの時のリベンジを出来るのはこのステージでしかないと思った。

定演まで残らない3年生も交えての最後の演奏で、曲目もアップテンポなものが多い。

今度こそは成功させなきゃ。

その思いが誰よりも強かったのは、やはりさつまくんだった。

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