秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
沙月は、普段はしっかり者で甘えるようなタイプではなかった。
でも彼女になったのだからもっと甘えて、もっと俺を欲しがってほしい。
そう思うのは自然なことだ。

「ほら、出かけようよ。せっかくの休みなんだから」
「わかってる…」

むくっと体を起こす彼女の顎を掬ってみせれば、図らずとも沙月の照れるような表情を見ることが出来た。

「はぁ、どうしよう、可愛すぎる」
「そういうこと言われると照れるよ」
「照れてるところが一番好きかもしれない」
「…そうなんだ」

甘ったるいよ、と言ってそそくさとベッドから出ていく彼女の背中を見つめながら早く夜が来ないかなと思ってしまうのは迷惑だろうか。

この日は、お互いの休みが重なって一緒にデートに行く予定だった。
デートと言っても、ショッピングを楽しむ程度だけど、交際宣言をしてからお互いの気持ちが楽になったことは事実だ。

「ねぇ、拓海、どっちがいいかな?」
「んーこっち」
「わかった!」

クローゼットから二着、スカートを取り出してきて俺の前に掲げる。
上は白いノースリーブで決まりらしいがスカートで悩んでいるようだった。
グリーンのサーキュラースカートか、イエローのマーメイドの形をしたスカートで悩んでいるらしい。

俺は一瞬で左手に持っているグリーンのスカートを指さした。

満足そうに頷き、踵を返す沙月を思わず抱きしめてしまう。
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