秘密に恋して～国民的スターから求愛されています～

「マサトが…同じマンションに引っ越してくるらしい」

私は、部屋に響きわたるほどの大きな声を出していた。


「な、なんで？」
「さぁ。前に住んでいたマンションの契約が更新されるタイミングだからって。まぁ、確かに芸能人が住むようなマンションってセキュリティーがしっかりしていないとダメなんだ。都内でもそんなに数があるわけじゃないから被るっていうのはそれなりによくあるんだけど」

私は釈然としないまま頷く。
本当にたまたま、なのだろうか。何か別に思惑があるのでは、そう思ったけど確証もない。

「ちなみにどこの階なの？拓海と同じ？」
「それは詳しく聞いてないんだ。沙月は俺の隣の部屋が空いていたからよかったけど…」

私は拓海と同じ階のしかも隣の部屋に引っ越すことが決まっている。

マサトさんのあの試すような、でも真意を隠してるような目を思いだした。

「マサトさんって、どんな人？仲いいの？」
「どうしてそんなこと聞くの？まさか、気になってるとかじゃないよね」

まさか、といって首を横に振った。
拓海はムッとした表情でそう言うけど、気になるわけないじゃない。この間初めて会ったばかりだ。