お姫様は恋してる?
今まで誰に対しても持たなかった気持ちに名をつけるなら、それは恋なのか愛なのか。

自分が女性に対してこんなに優しく接しようと思うなんて…

とにかく香子を甘やかしたくて、時間を作り京都に通い詰めた。

それでも自分から頼ろうとしない香子がもどかしく、香子も子どもも守りたいとプロポーズしたのに、成功目前で現れたあいつは、香子の気持ちだけ横から掻っ攫って香子を置いていなくなった。

冗談じゃない。

絶対に見つけて香子の前に引きずって来てやる。

俺の分も殴ってやらなきゃ、気が済まない。

香子には幸せになって欲しいんだ。

それを与えるのが俺じゃないのが、悔しいけど。

東京に戻るのぞみの車中で唇を噛んで、やるせなさを逃していた。

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