【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない

俺を’伊織ん’とふざけたあだ名で呼ぶ女は、つい先日やって来た妻である真凛の親友だ。
小人のように小さく、零れ落ちんばかりに大きな瞳はいつもうるうるしている。

甲高いアニメ声が特徴で、お喋りで、誰にでも尻尾を振るような女だった。
その女が何故か俺の前で上半身裸になり、小さな体に似つかわしくない大きな胸を露出している。

いきなり飛びついて来た所を真凛に偶然見られてしまった。 …誤解されても仕方がない状況だったにしろ

一体こいつは何なんだ…!

長い黒髪は妻である真凛とよく似ているけれど、性格や顔立ちは全く正反対の女。
拒否したにも関わらず強引に俺の腕を引っ張り、布団の中へと招き入れようとする。
問答無用でその腕は振り払った。すると彼女は信じられないといったような表情で目を丸くする。

「ふ、服を着ろッ!」

「え~…何なんですか~ 伊織んって意外とうぶ?」

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