【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない

「まあ、確かに…」

「こうなってしまった以上、借金もちゃらだよ。 だって結婚した相手が不貞を働いたんだから」

「それは、そうもいかない…!借金はお母さんがしたものだもん。
どんなに時間が掛かっても自分の力で市ヶ谷さんに返していく」

「だからー…何であんたはそんなに生真面目なのよ…」

ぐいっとビールを飲み干すと、明海は頭を抱えてため息を吐いた。
明海がいつも私を心配してくれているのは知っている。 桃菜とは全然違う。
心から友達として私の事を想いやってくれているんだ。

「でもそんな男とはもう結婚生活も成り立たないし、マンションには戻らなくっていいよ。
桃菜に騙されてコロッといっちゃうような男、どーせ大した男じゃないでしょう?
明日にでもすぐに離婚届けを貰ってくるべきだと思うけどね」

「離婚はしたくない…」

私の言葉に明海は鬼の形相を浮かべ、ビールの缶を思いっきりテーブルに叩きつける。

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