【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない
おまけSS 小早川家の事情

おまけSS 小早川家の事情




そこは台風や地震でも来てしまったら一発で吹っ飛んでしまいそうな程古い、木造作り平屋の一軒家だった。

私の理想とは大きくかけ離れている。

「今日から一緒に暮らす事になった蛯原 桃菜さん。」

古い日本映画で見るような縁側のあるリビングに集められたのは、碧人さんとはちっとも似ていない父親。

そして三人のまだまだ幼い女の子達だった。 私から見れば幼いとはいえ、一番上の女の子は中学生くらいだろうか。

三姉妹は父親にはちっとも似ていなかった。 それぞれ系統は違えど整った顔をしていて、将来は美人さんになりそうな気配だ。

「うおい…、碧人! まさか彼女か?!
えらいベッピンさんじゃねぇか」

碧人さんにちっとも似ていない父親は上下白のももひき姿だった。
ドン引きだけど、こういう中年にウケがいい自分の事は良く知っている。
けれども今は愛想よく挨拶する気分にもなれなかった。

「彼女とか冗談は止めてくれ。」

冷静な顔をして碧人さんはそう吐き捨てるように言った。 …ほんとーに失礼な奴!!私を一体なんだと思っているのよ。
くるりとこちらに振り返った碧人さんは私の方を見下ろし、世にも恐ろしい表情を向ける。

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