優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
元々、なかった自信は見事に粉々になったあげく、踏んづけられて今はもう壱哉さんが遠い存在だった。

「大丈夫?日奈子ちゃん」

「は、はい。平気です!渚生君もお仕事頑張ってください!」

なんとか、笑って渚生君と駅で別れた。
なんとか、テンションをあげようとしても手元にあるお弁当箱が目に入り、お弁当が一つだけしかない現実に悲しくなる。
鬱々として、そんなことを考えていると駅を乗り過ごしてしまったことに気付いた。

「た、大変っ!」

もう三つも!
慌てて降りた。
油断してた!
最近、車だったから。
急いで階段を上り、下りのエスカレーターに乗ろうとモタモタしていると―――

「遅い!」

後ろの人から、舌打ちされてしまった。
すみませんと前を譲り、頭を下げて階段を使った。
みんな、流れを止めたりしないのに私はいつも流れにのれない。
大縄飛びも苦手だったし、跳び箱も、球技もって運動全部?
壱哉さん、私のどこが好きになったんだろう。
百人に聞いたら、百人とも、きっとお姉ちゃんを選ぶのに―――

「自信なんかないよ」

ぽつりと一人呟いた。
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