優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
「私、倉庫に異動になって。呑海先輩が朝、やってきて、『倉庫で働くのが好きだったわよね』って言われて」

私の手伝いをしてくれた人達全員が倉庫勤務にされていた。
泣きながら、広報部から出ていくのを見送るしかなく、水和子お姉ちゃんが徹底的に仕返しをしているとしか思えなかった。
壱哉さんは大丈夫だろうか。

「すみません。私の席はどちらでしょうか?」

広報部部長が嫌そうな顔をして、指差した。
端の方にぽつんと机がおいてあり、そこが私の席みたいだった。
私と関わりたくないのか、誰も話しかけてきてくれず、仕事はなにも渡されなかった。

「どうしよう」

そうだ、コピーなら。
そう思い立ち、コピーに行こうとした人に話しかけた。

「あの、手が空いているので私がコピーをしてきます」

「いや、いいよ!」

まるで、逃げるみたいにその人は走り去って行った。
すごすごと席に座り、皆の仕事を眺めるしかない。
そうしているうちに一日が過ぎていった。
やっと帰る時間になり、ほっとして席を立ち、壱哉さんの所に向かうと、水和子お姉ちゃんと並んで壱哉さんが歩いていた。

「壱哉さ―――」
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