優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
第44話 私の仕事
「日奈子、嫌がらせはされてないか?大丈夫か?」

「平気です」

笑ってそう答えたけど、嘘だった。
広報部で私の仕事はなかった。
安島(あじま)さんや水和子(みわこ)お姉ちゃんの怒りを恐れてか、みんなから避けられてしまう。
倉庫に異動させられた人達を()の当たりにしたのだから、当然のことかもしれない。
私と目が合うと気まずそうに目を逸らされてしまい、口も利いてもらえない。
けれど、壱哉さんの負担になりたくなくて、平気なふりをするしかなかった。

「お弁当、いれておきますね」

「日奈子。お昼は一緒に食べないか?」

お姉ちゃんの怖い顔が目に浮かんだ。

「……無理です。公私の区別をつけろって言われましたから」

「それじゃ、社食に行こう」

「壱哉さんが社食に!?」

「日奈子といたい」

「そっ、そうですか?」

私だって、昼休みだけでも一緒にいたい。

「目立ちます……」

「気にしなければいい」

不敵に笑う壱哉さんに頷いたけど、いいのかなぁと思わずにはいられなかった。
でも、壱哉さんと社食で食事―――普通の社員同士みたいで、そのシチュエーションにドキドキした。
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