優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
第46話 仕返しはまだこれから【水和子 視点】
ぎりっと爪を噛んだ。

「さすがに壱哉がいると邪魔ね」

もっと日奈子を追い詰めるには皮肉にも壱哉の存在が邪魔だった。
私が壱哉の秘書になったことは失敗だった。
逆に私が壱哉に監視されてしまっていて、動きにくい。
しかも、壱哉が要求する仕事の量は多い。
今園を辞めさせて、気分はすっきりしたけど、こんなに仕事が増えるなんて思いもしなかった。

「どうしたら」

壱哉が日奈子を嫌うように仕向けたい。
後は家での態度がでかい#緋瞳__ひとみ__#も一度は痛い目を見せてやりたいのよね。
取引先の名簿をめくると緋瞳が所属する芸能事務所の名前があった。
私が広報部でよく使っていたからなんだけど。

「緋瞳のスキャンダルでも暴露する?」

意外と慎重で隣の渚生(しょう)にずっと片思いしているから、何もないのよね。
いっそスキャンダルを作るとか?
緋瞳じゃなくて、そう。
渚生の相手に日奈子を仕立て上げればいいのよ。
そうすれば、カッとなった緋瞳が日奈子に何をするかわからないわ。
共倒れさせる。
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