優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
第49話 指輪と約束
久々の壱哉さんとの外食は親しくしている洋食屋さんだった。
夜に来ると、昼とは違っていて煉瓦(れんが)外装(がいそう)につけられたランプも映えて、店の外観からして大人っぽい雰囲気に変わっていた。
店内もテーブル一つ一つにキャンドルが置かれていて、カップルが多かった。

「いらっしゃい」

レストランのオーナー夫妻はいつものように温かかく出迎えてくれた。
ディナーのコースを頼んであるらしく、ワインだけを頼むと洋梨やグレープフルーツが入ったさっぱりしたサラダに煮込みハンバーグ、ロールキャベツ、クリームパスタ、トマトと海老のパスタがでてきたあたりで気づいた。

「もしかして、壱哉さん」

「試作品。今度のフェアをシェフにお願いしてある」

「しっ、知っていたんですか?」

「ああ」

にっこり笑った。

「帰ってきた時に企画書の上で眠っていたからな」

しっかり見られていた―――しかも、そんな姿を。

「ほら、少しずつ食べてみよう」

「はい」

「それで、どうなっているか、詳しく聞かせて」

壱哉さんはやっぱりすごい。
ちゃんと私が目指す物も主として使いたい食材も知っていた。
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