優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
「その壱哉が二人きりになりたくないから、俺を呼んだんだろ?わからないかなあ」

私になにを言いたいわけ?

「まるで壱哉のことをわかってるみたいな口ぶりね」

「まあ、親友だし。多少はね」

渚生の上から目線の物の言い方が腹が立つ。
だから、嫌なのよ。この男は!

「じゃー、夜に」

さっさと駅の方へ向かって行った。
世間では人気俳優かもしれないけど、私にとっては気に入らない幼馴染みでしかない。
出社すると私の立場は今や『専務の恋人』で上司まで私に気を遣ってくる。
抱き合っていたという噂はあっという間に広まり、見るからに私と壱哉はお似合いで誰もが納得していた。

「次のフェアも呑海(どんみ)主任に担当してもらおうかな」
広報部部長が私に言うと、誰も異論はなく

「主任なら、安心だよな」

「成功は間違いないよ」

「主任。仕事もプライベートも羨ましいくらい順調ですね」

「そんなことないわ。まだまだ、これからよ」

皆からの称賛の声を浴びて、今日の夜、私の気持ちを壱哉に伝えようと決心した。
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