優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません！

第２０話 憧れの人からの

ホテルディナーなんて、初めてだった。
しかも、個室で専属のシェフが鉄板でバターを溶かし、野菜からスタートして魚介類、肉を目の前で焼いてくれる。
出来立てを食べれるなんて、なんて贅沢なんだろう。
お肉が柔らかい。
こんないいお肉、食べたことない。
激安スーパーのマルトクスーパーじゃ売ってないお肉なんだろうな……。きっと。

「すごくおいしいです」

「そうか。よかった」

壱哉さんはワインを飲んでいたけど、私はお酒は飲めないのでお茶をもらった。
調度品や絨毯だけじゃなく、食器もオーダーメイドのこのレストランは普通のお茶が入っているグラスさえも豪華で、お茶なのにお酒みたいに見えるくらい立派なグラスだった。
窓の外には夜景が広がり、遠くに見えるタワーの灯りがピカピカと点滅していた。
綺麗で見ていて飽きない。
ぼやっーと夜景を眺めていると壱哉さんから名前を呼ばれた。

「日奈子」

「はっ、はい！」

そういえば、話があるって。
うっかり食事と夜景を満喫しすぎて忘れていた。
なんだろう。
さっぱりしたジェラートを食べ終わり、スプーンを置いた。