優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
第22話 そばにいるのは私だけ【水和子 視点】
フェア成功のお祝いを広報部と営業部合同でやることになり、なぜか私は幹事。
あれだけ皆で私の事を褒めたくせにどうして私が幹事なのか、納得がいかなかったけれど、断れずに引き受けた。
企画したのは他の人だったのに(てい)よく、押し付けられてしまった。
いつもの『呑海(どんみ)さんならうまくやってくれるから』という評価のせいで。

「やっぱり、主任におまかせしてよかったー!」

「本当に素敵なお店だし、料理もおいしい!」

「この店は壱哉(いちや)、あっ、ごめんなさい。尾鷹(おだか)専務ときたことがあって」

後輩の女の子達はひそひそと話していた。
なに?

「呑海主任、専務とは同級生で友人だって聞きましたよ。付き合ってなかったんですね」

「誰がそんなこと」

安島(あじま)常務です。常務って会社のフットサルチームとか野球チームに入っていて、専務に噂を確認したら違っていたって」

社交的な常務は社長にも言うかもしれない。
そうなると、私と壱哉の婚約話がなくなるかも―――胸がざわつき、おば様と早く会って話をしようと決めた。
このままだと、チャンスを失ってしまう。
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