The previous night of the world revolution~T.D.~
「ルヴィアさんほど潤沢な『素材』がないので、仔細は分かりませんが…。どうやら、少々危険なことに巻き込まれているようなので…」

「…」

さすがフューニャ。

その通りだ。

勿論、詳細を話す訳にはいかないのだが。

「だから、彼女達の安全を願って、お面を作りました。遠く離れてはいますが、きっと、私がこのお面にたっぷりと込めた念が、向こうにも届いているでしょう」

「…」

…凄いな。

何ならフューニャの念、地球一周しそうなパワーを感じる。

「そんな訳なので、これをうちの寝室に飾っておきましょう」

「えっ」

「…?何ですか?」

「え、い、いや…う、うん。良いと思うよ…」

夜中、寝惚けて起きたらどうしよう。

悲鳴を上げる自信がある。

…それで、もう一つ、聞きたいこと。

今なら聞ける。

「…フューニャ」

「はい」

「その、手に持ってる骨…何の骨?」

よし、言ったぞ俺。偉い。

しかし、フューニャは。

何故か真顔で、骨を握り締めたまま、無言で俺を見つめるだけだった。

「…」

「…」

「…」

「…」

しばし、無言の応酬を続けた後。

フューニャは、スッ…と目を逸らし。

「…さて、夕飯にしましょうか」

全てを、なかったことにした。

…そうか。

じゃあ俺も、聞かなかったことにしよう。

俺とて、夜中に悲鳴を上げたくないからな。
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