The previous night of the world revolution~T.D.~
「シュノさんも、大活躍だったそうじゃないですか。聞きましたよ。『赤き星』を瓦解させたのは、シュノさんの功績だったって」

奴らは、『帝国の光』の『裏党』以上に、結束力の固い組織だったと聞く。

そんな奴らを、完全に内部崩壊させたのは大きな手柄だ。

『赤き星』を放置していたら、それこそ年齢サバ読みおばさんのように、自爆テロ起こそうとしていたかもしれない。

「う、うんっ…。でもっ…でも、私大したことしてないよ。ルレイアが…ルレイアのが、頑張ってたもん」

ひくひく泣きじゃくりながら、謙遜するシュノさん。

「いやいや、俺なんてとても。頑張ったと言うなら、皆頑張ってますよ」

「特に、潜入していたスパイ組はな」

と、補足するルルシー。

「いや、ルルシーも大変だったでしょ?連絡係やらシェルドニア遠征やら…」

「お前らの苦労に比べたら、なんてことない」

謙遜しちゃって。

すると、ルーチェスが片手を上げた。

「多分僕が、一番楽してますよ。ほぼ箱庭帝国に逃げてましたし…」

「馬鹿か。最初に『赤き星』に潜入して、後にシュノが潜入する下地を作ったのは誰だ?」

すかさず、ルルシーがそう言った。

「何よりお前、嫁を箱庭帝国に置いてきてるんだろ」

「…そうですけど」

「相棒と引き離される辛さは、俺が誰よりも知ってる。お前は謙遜するな、馬鹿」

「…分かりましたよ」

「よし」

ルーチェスは、一刻も早く、嫁を迎えに箱庭帝国に行きたいだろうね。

そして。

「うぅぅ〜…」

「…よしよし…」

未だ、泣き止まないシュノさんである。

どうしよう。本格的に、俺が泣かせたみたいになってる。

俺は啼かせるのはプロだが、泣かせる趣味はないんだがな。

「みんなっ…皆揃って良かったよぉ…。元気でっ…。無事で…」

「…本当…それに尽きますよね」

帝国騎士団から依頼を受けたときは、どうなることかと思ったけど。

皆、無事で本当に良かった。

すると。

「ん?」

ルルシーの持っていた無線機が、ジジジ、とノイズを発した。

『…あー、マイクテスマイクテス!聞こえるか野郎共!』

お、この声は。

「アリューシャじゃないですか。こんにちは」

『にゅおっ!?ルレ公だ!ルレ公の声が聞こえたぞ今!幻覚か!?』

『アリューシャ。それを言うなら幻聴ね』

お、更にこの声は。

「アイズですね。お久し振りです」

『やぁ、君達。皆揃ってる?無事?』

「皆元気ですよー」

「ふぇぇぇん」

一名は号泣しておりますが。

これもご愛嬌。

『そう、それは良かった』

無線機越しでもわかる、アイズの心底ホッとしたような声。

よっぽど心配してくれていたんだなって。

『お互い、積もる話はたくさんあると思うけど』

そうですね。

シュノさんなんて、積もる話が積もり過ぎて、号泣して言葉になってないですよ。

『まずは、先に合流しようか。皆、帰っておいで。…『青薔薇連合会』に』

「…ですね」

俺達は、互いに顔を見合わせた。

最早、ここで俺達がやるべきことは、何一つない。

後は、帝国騎士団に任せておけば良い。

だから。

「帰りましょうか、皆さん…。俺達の、戻るべき場所に」

『青薔薇連合会』に。
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