The previous night of the world revolution~T.D.~
見ましたか、皆さん。

夫婦間DVですよ。

「何するんですかルルシー!愛の証ですか!?」

「何でそうなるんだよ!お前がルーシッドに失礼なこと言うからだろ!」

失礼なこと?

「戻ってたんですねって言っただけじゃないですか」

他に何か言ったか?

「あのなぁ、お前…」

ルルシーのこめかみに、ピキッ、と血管が浮き出たところに。

「あの…大丈夫、大丈夫ですルルシー殿。むしろ今は、こんな平和…な会話が出来て、ホッとしてるくらいなので」

と、ルーシッドが割って入った。

平和な会話なんて、したっけ?

俺、ただ挨拶しただけなんだけど?

「…そうか。本当…本当済まんな。うちの馬鹿ルレイアが、色々迷惑かけただろう?」

ちょっとルルシー。何言ってるの。

「あ、いえ…。大丈夫です、その…もう慣れ…いえ、過ぎたことですし」

「申し訳ない。心の底から申し訳ない。これ、つまらないものだけど…いや、こんなものでは、とてもじゃないが割に合わないほど、理不尽な生活を強いられただろうけど…せめてもの詫びだ。収めてくれ」

ルルシーは、行きがけに買ってきた、高級洋菓子店の菓子折りを、ルーシッドに渡した。

何?理不尽な生活って。

お互い、住心地の良い、快適な生活を送ってましたよ。

「ど、どうも…」

「理不尽な生活なんてしてないですよ。ねぇ?仲良く生活してたじゃないですか」

「…はい…。…そうですね…」

は?何で棒読み?

「俺、超気を遣って生活してましたからね。ルーシッドも快適だったに違いないですよ」

「アホかお前は?本当に気を遣ってる奴はな、勝手に家具をゴスロリ仕様にしたりしないんだよ」

「とんでもない!これは俺の最大限の気配りですよ。見てください、この素晴らしいゴスロリ部屋。ルーシッドがくつろげるように、俺は敢えてこのインテリアをチョイスしたんですよ?ルーシッドも感謝してるはずです」

「…」

…は?何で無言なんだルーシッドは。

そうか。俺の気遣いに、感激して言葉が出ないんだな。

そうに違いない。

「本当…本ッ当ごめんな、最初から最後まで、躾がなってなくて…」

「…いえ…。もう過ぎたことですから…」

何の会話?

あ、それよりも。

「あれからどうなったんです?『ルティス帝国を考える会』は」

それについて、ルーシッドに聞いておこうと思っていたんだ。
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