The previous night of the world revolution~T.D.~
『…そうなのか…。…辛くないか?ルレイア』

うん?

「何がです?」

『いや…。どういう討論があったのか知らないが…。反貴族制の意見が出たなら…その…』

ルルシーは、言いにくそうに言葉を濁した。

…あぁ、成程。

反貴族制度の話をされて、また俺が傷ついたんじゃないかと。

相変わらず心配性のルルシーが、相変わらず心配してくれているのだ。

「過保護ですねぇ。大丈夫ですよ」

『天の光教』のときも、反貴族制度派の連中の意見は、散々聞かされた。

今更、世間知らずのガキ共に何を言われても、俺の心には響かない。

『そうか…。大丈夫なら良いが…。…無理はするなよ』

「分かってますって」

本当に心配性なんだから。ルルシーったら。

あ、そうだ。それと。

「済みません、ルルシー」

『?何だ』

「サークル内で信用してもらう為に、ルルシーの…過去の話を、ちょっと脚色して引用させてもらいました。許可なく済みません」

『あぁ…』

「名前とかは一切出してないので、そこは…」

『別に良いよ。貧民街じゃ、俺の過去なんて、何処にでもある話だ』

でも、ルルシーはその何処にでもある話の為に、苦しんで、傷ついて生きてきたんだろう。

だったらその苦しみは、何処にでもある訳じゃない。ルルシーだけのものだ。

「ごめんなさい。先に断っておくべきでしたね」

『気にするな。それでお前の信用が得られたなら、本望だ。信じてもらえたんだろう?』

「一応、仲間認定はされてると思います」

『なら良いよ。くれぐれもボロは出すなよ』

ボロは出すな、だって?

「ふふ、誰に言ってます?」

『…全くだな。だが…油断するなよ?』

「分かってますよ」

本当心配性なんだから。

引き際は弁えている。

やべぇと思ったら、すぐ退くよ。

「それより、ルルシー」

丁度、連絡を取ろうと思っていたところだったのだ。

『何だ?』

「俺以外の二人は、どうなってます?ルリシヤとルーチェスは。二人の安否について、情報上がってきてます?」

『あぁ。二人共今のところ順調らしいぞ』

「そうですか。良かった」

あの二人なら、ミスをすることはないと思うが。

それでもやはり、気にならないと言ったら嘘になる。

ルーチェスは、俺の弟子だし。

ルリシヤは、俺より危険な場所に潜入してるんだし。

二人共、今頃何をしているのだろうか…。
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