劇薬博士の溺愛処方

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「いらっしゃいま……え、飛鷹先生?」
「お久しぶりー、三葉ちゃん」

 水曜日の夜に現れたのはかつての職場のドクター、飛鷹博和だった。染めてもいないのに薄い色素の茶色い髪に人懐こそうな丸い栗色の瞳。白衣を脱いだ彼は清潔感のあるカッターシャツとジーンズ姿だ。三葉と同年齢とも、まだまだ二十代前半とも呼べる若者に見える彼だが、実年齢は琉と同じ、恐るべし三十一歳なのだ。

 病院内の調剤薬局で働いていた頃に、琉の大学時代の同期で職場での先輩にあたるのだと挨拶されたことがある。接点と言えばそれくらいだが、調剤部に入ったばかりの三葉を見初めた琉がしきりにアタックした末、恋人同士に落ち着いたという経緯を知っているからか、向こうは妙にフレンドリーな空気を醸し出している。

「あの、なんでここが」
「大倉先生から聞いたからに決まってるでしょう?」
「あ……琉先生は?」
「今夜は整形が当直。ところで三葉ちゃん、このあと時間ある?」
「えっと、営業時間は午後九時までですので、その後でしたら……ってわたしにご用ですか!?」
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