劇薬博士の溺愛処方

「それはありがとうございます」

 にこりともせず棒読みで返され、飛鷹は困惑している。

「お客さんに向かってそれはどうなのよ」
「先に吹っ掛けてきたのは先生ですよ」
「はいはい。じゃあ今夜は割り勘な」
「望むところです」

 恋人でも既に職場の上司でもなんでもない人間に奢られるほど三葉も図々しい人間ではないのだ。先輩が琉について話があるというのだから、三葉はそれに付き合うだけ。

 それだけのことだと請け負った三葉を見て、すこしだけ残念そうに飛鷹は瞳を細め、何事もなかったかのように閉店作業をする彼女を待つのであった。
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