キミを描きたくて

Side Hayato

店長の呼び出しから、走って店に向かう。
店に着く頃には暑さもあって汗だくだった。

でも、そんな汗なんて引くほど、依茉ちゃんは泣いていた。

父が来たこと、兄も夏休み明けには帰ってくること、親が離婚すること、そして何より…

あんなに思い焦がれていた兄と、血が繋がっていないこと。


「依茉ちゃん」

「どうしたの、隼人くん」

「僕は、今後依茉ちゃんとお兄さんがどうなっても、僕だけは味方だから」


優しく頭を撫でる。
本当は抱きしめてあげたい。キスだってしたい。

でも、依茉ちゃんはきっと僕を求めてくれることなんてない。
そう言葉にされなくても、そう伝わるのだ。

"お前じゃない"、そう言われてるのだ。


「……」


黙々と絵を描く依茉ちゃん。
出会った頃も、こうして小さな画用紙に描いていたね。

あのころは、色鉛筆だった。
あの男に沢山買ってもらったんだね。
きっと、素直になれたんだろうね。

僕の出番、なくなっちゃったかな。

もっと早く、依茉ちゃんのこと抱きしめてたら、変わってたかな。

依茉ちゃん。
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