イケメン御曹司の甘い魔法
会場のホテルに着くと、ロビーに優斗さんが待っていてくれた。
「優斗さん、遅くなり申し訳ございません。」
優斗さんは優しい微笑みで私の手を取って、自分の腕に掴まらせた。
口角と片眉を上げて、悪戯っぽい表情をする。
「お待ちしておりましたよ。お姫様…」
「優斗さん、ふざけないでください!」
「芽衣、とても綺麗だよ。」
優斗さんの甘い言葉に、顔が熱くなる。
優斗さんにエスコートされて、ホテルの最上階にあるラウンジへ移動した。
バーラウンジになっているが、やけに人がいない。
お店のスタッフ以外は見当たらないのだ。
「優斗さん、やけに静かですね…」
「うん。もちろん今日は芽衣のために貸し切りだからね。」
「------------はっ?」
私はラウンジで一番窓に近い席に案内された。
大きなガラス窓からは、夜景と東京湾が見えている。
「優斗さん、今日のパーティーというのは?」
優斗さんは悪戯っ子の様に目を輝かせている。
「芽衣、もうすぐ始まるから、窓の外を見ていて!」
すると、東京湾の方から花火が打ちあがった。
夜空に大きな花が咲いたようだ。
こんなにも花火を近くで見たのは、生まれて初めてだ。
「優斗さん、綺麗ですね!こんな近くで初めてです。」
「芽衣、もっと驚く花火が上がるよ…」
次に上がった花火は、スルスルと上空に上がると大きな音を出して昇っていく。
そしてドカーンと破裂するような音を出して広がった。
その形は…
「優斗さん、この花火って、指輪の形ですか?」
その花火は大きく開くと、まるでダイヤが輝くような指輪の形に開いたのだった。
その花火は、色を変えながら何回か打ち上げられた。
私が花火に夢中になっていると、耳元で優斗さんが囁いた。
「芽衣、左手を出して…」
優斗さんに言われて、左手を差し出すと、薬指に花火と同じような指輪がゆっくりと差し込まれた。
「優斗さん、これって…」
私は驚きで、心臓の鼓動が早くなる。
徐々に目の奥がズキンと痛くなり、熱くなってくる。
だんだんと視界が水の中になる。
「芽衣、この指輪を受け取ってくれるかな?俺と結婚してください。」
「-----はい。------嬉しい----です。」
涙がツーっと溢れ出す。
ラウンジのスタッフ全員が拍手をしてくれていた。
なんて嬉しいサプライズなのだろうか。
嬉しすぎて、夢では無いだろうかと思ってしまう。
「優斗さん、これは夢では無いですよね?」
「芽衣、夢では無いよ。俺の奥さんは、こんなにも可愛くて、俺は心配が増えるな!」
優斗さんは、私の頬を摘まむようにして引っ張った。
悪戯な表情でクスッと笑っている。
「優斗さん、私は幸せ過ぎて恐いくらいです。」
優斗さんに抱き寄せられ、さらに涙が止まらなくなってしまう。
まわりのスタッフからは、沢山のお祝いの言葉が掛けられた。