【溺愛結婚】懐妊後、御曹司から猛烈に溺愛されています。〈完結〉

　わたしはさらに言葉を続けた。

「あの女、誰よ」

「……まさか、お前」

　藍はそこで、口を閉じた。

「昨日も、今日もいたでしょ？マンションの前に……」

「……何で、お前がそれを知ってるんだよ」

　藍の表情が少しだけ変わった。

「昨日、藍が忘れ物してたから……届けてあげようと思って。それでマンションの外に出たら、藍が……」

「……そうか」

「あの人に今日、キスされてたでしょ」

　わたしが切り込んでいくと、藍は顔を上げて「え、見てたのか……？」とだけ答えた。

「……あの女、元カノなんでしょ？」

　と問いかけると、藍は一言「……ああ」と返事をした。

「元カノがいることくらい、アンタの容姿なら想像つくし、仕方ないと思うけど……。けど、中途半端な関係のままにはしないで」

　わたしは藍に、そう強く言った。

「……ごめん。透子のこと、傷付けたよな」

「そういう問題じゃない。　藍はさ、父親になるんだよ？親になるの、わたしたちは。……そうやって中途半端にして藍に何かあったら、この子が悲しむ……」

　わたしはお腹に手を乗せて、語りかけるようにそう告げた。