【溺愛結婚】懐妊後、御曹司から猛烈に溺愛されています。〈完結〉


 確かに、あの時……。死ぬかと思った。
 藍に助けてほしいって、本当にそう思ってた……。

「……あの子、言ってたよ」

「え? 言ってたって、何をだ?」

 藍は信号待ちしている状態で、ハンドルを握りながら、わたしに視線を向けていた。

「……わたしが、藍と結婚出来ると思ってたのに、って」

 なぜそんなことを言っていたのか、分からなかったけど……。
 確かに言っていた。

「違うんだ、透子。それは……」

 と藍が話しだした瞬間に、信号が赤から青へと変わりだす。

「……藍?信号、青になったよ」

「あ、ああ……」

 戸惑っているような表情をする藍は、再びハンドルを握りだし車を走らせる。

「藍。違うんだって、何……?」

 わたしはそう問いかけた。

「結婚のことだろ? あれは、アイツの勘違いだ。俺は結婚したいとも、するともアイツには一言も言ってない」

「じゃあ何で……。藍のこと返してなんて、言うの?」

 それが分からない。藍のことをまだ好きなのは見て取れる。……けど、何でわざわざそんなことをする必要があるの?
 何が目的だって言うのよ……。
< 116 / 157 >

この作品をシェア

pagetop