【溺愛結婚】懐妊後、御曹司から猛烈に溺愛されています。〈改稿版〉
【4.女将との再会】
「……ごめん。やっぱりそれは出来ないよ」
だけどやっぱり、結婚は出来ない……。
「なぜだ……?」
なぜだと言われても、出来ないものは出来ない……。
高城ホールディングスはわたしにとって、憎くて仕方ないものでしかない。そんな憎き高城ホールディングスの御曹司との結婚は、わたしにはリスクが高すぎる……。
高城ホールディングスの御曹司と結婚したらわたしは、その会社をさらに憎んでしまうかもしれない。
高城ホールディングスに嫁ぐことは、わたしにはやっぱり出来ない。
「……わたしは、高城ホールディングスに嫁ぐつもりなんてないからね」
高城家の嫁になんてなったら、それこそ後悔しそうだ。
「なら、どうしたらいいんだ……?」
車の中でわたしは、藍にそう問いかけられて「え……?」と視線を向けた。
「どうしたら俺と結婚してくれるんだ? どうしたら、俺を許してくれる……?」
そう問いかけられて、わたしは何も答えられなかった。
「……許すとかの、問題じゃないの」
「え?」
「……ごめん。あなたと結婚は出来ない。何度言われても、わたしの答えは変わらないから」
わたしはそう言うと「……一人で帰る」と車から降りて、早足で歩き出した。