【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
「大神殿の神殿長にございます。聖女様、どうぞ私どもが近くに寄り、言葉を交わすことをお許しください」

 神殿長……?
 王都の大神殿でお世話になった、あの白髪白髭の神殿長様?
 かなりのお年だったと思うのだけど、ご本人がこんなところにまで足を運んだのかしら。

 驚きは、それだけではなかった。

「聖女殿! 私はレクトマリア神聖王国、国王オルヘイム二世。聖女殿をお迎えにあがりました」

 こ、国王陛下!?
 暗くて顔ははっきりしないけれど、確かに声は、国王陛下のよく響く低い声だ。

 陛下からも、わたしの顔はほとんど見えていないと思う。
 陛下はそのまま声を張って話しつづける。

「先日、王都にて執り行われた聖女継承の儀が失敗に終わったことは、ご存知でしょうか。儀式で聖なる水晶は光らず、聖女モーリーンは聖女の証を立てることができませんでした」

 モーリーンが失敗した……?
 それでは、「聖女の力が失われた」という、あの街の噂は本当だったの?
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