【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~

 神殿長の指示を受け、神殿騎士達がモーリーンを連れていった。
 モーリーンの高い声が次第に遠ざかっていく。

「申し訳ごさいませんでした、マリアーナ様。女性神官だけではモーリーン様をお止めできなかったようです」

 呆然とするわたしを見て、神殿長が深々と頭を下げる。
 女性神官のひとりが寝衣のままだったわたしに丈の長いガウンを羽織らせてくれた。

「どういうことなのですか? モーリーンは国王陛下と何を話したのでしょう。北方神殿って……?」

 神殿長はため息を吐きながら、「まずは、どうぞお掛けください」とわたしをソファーに座らせた。






「モーリーン様は聖女の大役に怖気づき、姉であるあなたを身代わりに立てた、という罪はございますが……」
「…………」
「たとえまことの聖女ではなかったとしても、東方神殿の聖女選定の儀で選ばれたのは事実。モーリーン様が自ら詐称したわけではありません」
「それは、そうですね」
「陛下としても極刑を言い渡すわけにはいかず、その曖昧さにモーリーン様はご不満を抱かれたようです」
< 131 / 294 >

この作品をシェア

pagetop