【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
 ヴォルフも寝台に上がってきて、湖が見える位置に座った。
 わたしを軽々と持ちあげて、背後から足の間に抱きこむ。ヴォルフの好きな体勢だ。
 背中にヴォルフの鼓動を感じた。

「ありがとう……。ほんとにうれしい」

 ヴォルフはわたしの頭のてっぺんに顎をのせ、ふっと息を吐いた。

「やっぱりここにマリアーナがいると落ち着く」

 また涙があふれ出した。
 いつもの姿勢でヴォルフのぬくもりと匂いにつつまれる。それがどんなに貴重で、幸せなことか。
 もう二度とこの腕の中には戻れないと思っていた。

「泣くな……。マリアーナ、魂の番、おまえを愛してる」
「うれしくて涙が止まらないの。わたしもあなただけ。あなただけを愛してる」

 わたしの肩にヴォルフがぐりぐりと鼻先をこすりつけた。そのまま首筋を舐めると、うなじを何度も甘噛みする。

「……んっ……」

 くぐもった声が出てしまう。
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