【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
 不機嫌だけれど、怒っているわけではない。危険な人達ではないのね。

 まだふわふわとした心地のまま、うっすらと目を開ける。

「ヴォル……フ……?」

 ヴォルフのもふもふに顔をこすりつけて「んん」と背伸びをした。

「む……」
「おや、目が覚めたようですね」
「まだ寝ぼけてるみたい。可愛いね」
「ガルルルルーッ」

 起きあがって振り向くと、そこには三人の男性がいた。

「おはよう……ございます?」

 三者三様の表情でのぞきこんでいる人達は……。

「もしかして……眷属神の皆さん?」
「うむ」
「正解でーす!」
「よくわかりましたね。ヴォルフにはもったいない、聡い番ではないですか? 愛らしいし」
「グウゥゥゥゥ!」

 黒髪黒瞳の無口そうなひとが黒獅子さん。
 金茶色の髪で、大きな瞳をくりくりさせているひとが、狐さん。
 白い髪にひと筋だけ黒い髪が流れている知的な雰囲気のひとが虎さんかな。

「ごめんなさい、こんな格好で。最近いつも眠くて……」
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