【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
 案内の神官達が微笑ましそうに、わたしを見ている。
 大神殿は一つの街が入っているんじゃないかというくらいの広さで、町娘のわたしは圧倒されてしまった。





 * * * * *





 大神殿では、女性の神官数人がわたしの世話係として付けられた。
 彼女達は生活の面倒以外にも、王族や貴族に対する礼儀作法や、聖女としての心得について教えてくれる。

「ここでひと月ほど聖女様のお役目について学んでいただいたあと、王宮にて聖女継承の儀が執り行われます。その晩に、初夜の儀がございます」
「……はい」

 主に聖女としての教育を受け持ってくれている年長の女性神官が、にこりと笑みを浮かべた。
 最初の日に挨拶した神殿長も、聖女付きになった女性神官達も、みんなとても親切で優しかった。

「初夜の儀がつつがなく調われましたら、聖女様はこの聖宮か、王宮の中にあるお屋敷、または国中にある離宮のどこにでもお住まいになることができます」

 大神殿の中のもっとも奥まった場所にある、この綺麗な館。聖宮と呼ばれるここが本来の聖女の住まいらしい。

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