【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
「国王陛下、本当に、本当に申し訳ございませんでした」

 モーリーンは大きな椅子に座る国王陛下に向き直ると、膝を付いて深く頭を垂れた。

「先ほども申しあげましたとおり、あたしは小さいころから姉にいじめられていて……今回のこともマリアーナに脅されて断りきれずに……」

 父さんと母さんも慌てて、モーリーンに従ってひざまずく。
 国王陛下を見上げるモーリーンの青い瞳から、はらはらと涙がこぼれた。

「でも、言い訳になりませんよね。あたしは聖女なのに……もっと強くならなければなりませんでした」

 国王陛下は渋面を作ってわたしを凝視していたが、モーリーンに視線を移すと落ち着いた声で言った。

「モーリーン嬢。では、あなたが本物の聖女で間違いないのだな?」
「はい。東方神殿で女神様の宣託を受けたのはあたしです」

 潤んだ瞳で国王陛下を見つめるモーリーン。
 その姿はわたしとそっくりなのに、わたしと違って人の庇護欲をかきたてる可憐で愛らしい雰囲気に満ちていた。

「そうか……。あなたは体調を崩し、療養していた親戚の家から帰ってきたばかりであったと聞いたが」
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