【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
7.聖女鑑定の裏側で - side ヴォルフ -
「わたしなんかと一緒で恥ずかしくない?」
マリアーナが馬鹿なことを言うもんだから、俺はマリアーナを思いっきり抱きしめて、額と頬と唇に軽く口づけた。
「い、痛いわ、ヴォルフ。それに町中よ。みんな、見てる」
「かまうもんか」
屋台の肉串を食べたあと腹ごなしに散歩していたら、マリアーナがちょっと暗い顔をして言いはじめたのだ。
あの肉はうまかったが、小僧が余計なちょっかい出しやがって。
「だって……嫁、だなんて」
お?
マリアーナの頬が薄紅色に染まっている。
照れているのか?
「マリアーナはもっと自信を持っていいんだ」
「自信?」
「あの家族のもとで、つらい思いをしていたのはわかってる。だが、それはもう終わったことだ」
「ええ……」
「今、ともに生きているのは俺だ。家族に言われたことなんて忘れろ」
「…………」
「俺を信じろ」
赤い顔をして、ぼんやり俺を見上げるマリアーナ。本当に可愛い。