【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
「…………」

 水晶が壊れたのは、確実に俺が匂いを付けすぎたからだ。
 俺の気配が強すぎて、脆弱な水晶には耐えられなかったのだ。

 ってことは、そのあとマリアーナが追放されたのも俺の責任か。
 けどなー。

「おまえが無邪気に俺を煽るのも悪い」

 文句の一つも言いたくなる。

『ヴォルフ……。いくら狼でも、こんなの変よ? なんだか……おかしな気分になってきちゃうから、もうやめて。ね?』

 可愛い頬を赤らめ、はぁはぁと息を荒らげながらこんなこと言われて、止まれる男がいるか!?

 狼の姿を取っていたことは幸いだった。
 種族の違いは意外と大きい。本能的に歯止めがかかる。
 それすら乗り越えそうな危険も感じたが、とりあえず匂いつけだけですんだのだから良しとしよう。

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