Ephemeral Trap -冷徹総長と秘めやかな夜-



「……わりぃ、遅くなったわ」



この場にいる3人とはまた別の、誰かの声がした。

遅くなったってことは……男の電話の相手なのかもしれない。

続けて、カシャ、というシャッター音。



「っおい!」

「なにしてんだテメェ!」



……そういえば……。

写真を撮るとかなんとか、言ってた……。



薄まった意識の中、それだけがよぎって。


わたしの頭は停電したように、プッツリと光を失った。



闇の底へと沈んでいくさ中で。


労わるように、慰めるように、……誰かがわたしの身体を、優しく包み込んでくれた気がした。




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