千の恋よりも、あなただけ
恋も二度目なら
ベッドで泣き続けていると、ふいにチャイムが鳴った。

こんな夜中に誰…。

インターホンの向こうには…会いたくてたまらなかった人がいた。

でも、何故?



しかし、考える暇もなく、私は玄関に飛び出していた。



「ジローくん、なんで…?」

涙が止まらない。

「茉子ちゃん?ちょっと、そんなに泣いてどうしたの?」

「だって…あんな別れ話したばっかりなのに来るなんて…訳がわかんないよ、こんな…」

「別れ話?」

ジローくんは、きょとんとしている。

「だって、さっき、もう電話でおやすみを言うのは、これきりって…」

しゃくりあげながら答えると、ジローくんは頭を抱えた。

「それ、意味が違うよ」

「え…」

「電話の最後、なんか様子がおかしかったから心配で来たんだけど…別れるなんて全く考えてないよ。だけど、どうしても話さなきゃいけないことはある。とにかく!明日の午後7時、うちの食堂に来て?約束な!」

何が何だかわからぬまま、私がかろうじて頷くと、頭をポンポンとやってから、去っていった。

本当に意味がわからない…。
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