悪役令嬢の復讐マリアージュ
グルグル
琉司を見送った後。
仕事に戻ろうとしたところで、急にトイレに行きたくなる。
でももう大貴はいないから、当然1人で行くしかなくて……
そうなってからは、みんなが帰る前に済ませてたけど。
今日は個人的な手続きで仕事を抜けたため、その分を夢中で補ってたから忘れてたのだ。

仕方なく、エレベーターと逆方向にあるトイレに向かおうとするも。
角を曲がる直前で立ち止まってしまう。
この先に何かいたらどうしよう!
それすら怖くなると、トイレのドアなんてもっと開けられない。

またまた仕方なく、なんとか我慢しよう!と引き返すも。
でもまだやる事たくさん残ってるし〜、と踏み止まる。
そう、ただでさえ仕事が多いのに。
今は株主総会の後処理や、7月の人事異動の手配、そして社長就任に関わる業務で大忙しだったのだ。

そんな心情でグルグルして。
「どうしよう……」
思わず情けない声を漏らすも。
もう行くしかない!と気合いを入れる。

「大丈夫!お化けは出ない!
花子さんはいないっ!」

途端。
アハハ!と笑い声がして、ぎゃああ!と叫び声を上げてしまう。

「ごめんっ、驚かして」
そう角から出て来たのは。

「楓くんっ!?
なんでここにっ……」
動転しながら。
< 258 / 344 >

この作品をシェア

pagetop