悪役令嬢の復讐マリアージュ
「馬鹿な勘違いね。
彼は長年の親友よ」

「親友?警備員とっ?
だとしたらあの警備員、ずいぶんと身の程知らずだな。
顔で選ばれただけの遊び相手なら、可哀想だから見逃してやろーかと思ったけど……
やっぱりクビにしてもらおっかな」

「あんた何様?
そんな事して何になるの?」

「別に。
逆に姉さんは、もっと立場わきまえたら?」
そう嘲笑って、去って行った琉司。

ホッとした一方で、フツフツと怒りが湧いてくる。
こんな人間に、絶対負けない。

そして念のため。
琉司が大貴に手を出す前に、警備会社に先手を打っておかなきゃと思慮を巡らせる。
そのせいで仕事が捗らず……
もしかしてそれが狙いっ?とさらに腹立たしくなる。

そんな時、楓くんからLINEが入り。
怒りが一気に吹き飛ばされる。

それは、今日のフルーツ盛り合わせについてで……
事前に〈食べきれなかったら周りとシェアして〉とLINEしてたものの、それでも多かったらしく。
次からは1種類でいいよという内容だった。

張り切りすぎたかと、若干落ち込むも。
実際大変だったから助かるし。
〈でもおいしかった、ありがとう〉
その言葉だけで何もかも報われる……
おかげでそのあとの仕事が、見る見るうちに片づいたのだった。



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