悪役令嬢の復讐マリアージュ
ジンジン
週明け。
来月から楓くんを営業部に配属するという辞令が、関係部署に交付された。

それにより。
1人で残業中に、思った通りの人がやって来た。

「まさかとは思ったけど、姉さんの目がそんな節穴だったとはね。
今回の辞令で確信したよ。
旦那をドサ回りさせて、地道に支持を集めようって?
それが何%の票に繋がると思ってる?
無駄な労力だね、義兄さんに同情するよ」

「たとえ1%でも、それを馬鹿にする人間は、その1%に泣く事になるわよ」

「アハハ!本気でそんな事言ってんだっ?
世の中金と権力だよ?
俺がそれをを証明して、むしろ笑ってやるよ」

「そうね、今の内に笑っといたら?
でも仕事の邪魔だから、他でやってね」
こっちの意図に勘づいて、何か言ってくるとは思ったけど。
相変わらずの反応に、ムキになるのも馬鹿らしいと。
軽くあしらって、さっさと追い払う。

ところが。
「久しぶりなのに、ずいぶん冷たいじゃん。
俺は姉さんのために、わざわざアドバイスに来たってゆーのに」
私の正面まで来て、デスクに両手を付いて前のめる。

「っ、結構よ。
だいたい、あんたが敵に塩を送るとは思えない」

「敵って、俺ら姉弟(きょうだい)じゃん。
ひどい言われようだな……」と、悲しそうな顔を覗かせる。
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