摩訶不思議
検査が終わった。

その後、精神科の診察室へ向かう。

精神科医との診察が始まった。
「こんにちは、木村さん。少しお話しを聞かせて下さいね。」

「は…い 宜しくお願いします」

「じゃあ、お名前からお願いします。」

「私は、朝岡友子だと思っていますが、周りの人達が、木村友子さんと呼んでます。
昨日、財布の中の保険証も免許証も木村友子になってました……」

「じゃあ、友子さんと呼んでいいですか?」

「ハイ。」

「では、友子さんは高校生や大学生の記憶はありますか?」

「はい。あります。独身時代はデパートに勤めていました。」

「朝岡さんと結婚までの馴れ初めは?」


友子は、朝岡達彦との馴れ初めやこの10年間の話をした。

「ほう。 じゃあ木村聖一さんの事は全く知らない人ですか?」

「いいえ、デパートの同僚との飲み会で知り合ったと思います。
木村さんに昨日お会いして思い出しました。」

「友子さんは、今後怪我が治ったら木村聖一さんと息子さんと暮らせそうですか?」

「もし、記憶が混乱しているのなら、アルバムの写真や木村聖一さん以外の人から結婚前の当時の様子を聞いて、納得できたら木村聖一さんと息子の大地くんと暮らしたいです……」

「そうですか。 じゃあ木村さんにアルバムを持って来てもらいましょうね。」

「ハイ。 あと〜母親と、学生時代の親友と話しがしたいです…」

「その件は担当医に聞いて、面会しても大丈夫か聞いてからかなぁ〜
私から担当医に話しをして、木村さんから連絡してもらいますね。
では、今日はこれでおしまいです。」

「はい。ありがとうございました。」

病棟の看護師さんが来て、車椅子で病室へ戻る。
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