ときめきの香りは貴方ですか？
お昼休みになって、安河さんが私達に話しかけてきた。

「ねぇ、私達、同期だしさ、気兼ねなく話したいんだ。だからさ、名前で呼び合わない？」
安河さんは、明るく積極的で、私の苦手とするタイプだ・・・

学生の時、みんな始めは私に話しかけてくるけど、面白くないと離れていってしまった。
だから、人に自分から話しかけることも段々少なくなって、仲良くなっても、また離れてしまうんだと、距離をおき、1人で過ごすことが多くなった。

でも、社会人になったらそうも言ってられない。

「そうだよね！同期って響き、社会人になった感じでいい」
三嶋くんも明るく、元気があって、私だけが浮いている気がする。
また、学生時代みたいになるのかな・・・

「じゃあ、風谷さんは愛里ちゃん、私はなっちゃんって呼んで。三嶋くんは龍太ね」
「えぇ～、何で俺だけ呼び捨てなの？」
「何となく」
「何となくで呼ばないでよ・・・まぁいいけどね」
「風谷さんもいい？」
「あっ、うん」
「じゃあ、決まりね」

それから3人は、休憩時間やお昼休みに、お互いの学生時代や趣味などを話した。

私は2人みたいに話すようなこともなく、聞く側に徹していたけど、2人との空間は、今までと違ってとても心地良かった。

2人と1日1日過ごすうちに、2人に話すことも多くなってきた。2人とも変わりなく接してくれる。

苦手だった安河さんは、とても気さくで、私の話すことに真剣に耳を傾けてくれた。

1人で行動することが多かったことを話した時も
「大丈夫よ！これからは私がいるから」
と元気づけてくれて、涙が出そうだった。
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