薄暗い水辺で、私は彼を思う
「何も言ってないのに、どうしてわかったの!」
驚く私を見ても、冷静な態度と顔の表情は変わらない。
深く何度も頷いて、その人は話し始める。
「神社の敷地にある神木が、ザワザワと騒いでたので」
「神木……」
風も吹いてないのに、幹が太くて大きな木の葉や枝が揺れている。
この人は、本物だと確信した。
「ところで、日曜日でも制服を着てるのはなぜです?本物の女子高生さん?」
「そうです。着慣れてるし、つい……」
「わたしも、この町の高校一年生なんですよ」
「えっ、同じ歳!」
大人っぽい雰囲気と、背筋の通った正しい姿勢の巫女さんを見たら……
誰だって自分より年上だと思ってしまう。
「わたしは、この神社の巫女を手伝ってるだけなので。生まれ育った環境が、この場所ですから」
この神社の娘さんか、だったら話は早い。
早速、お願いすることに……