薄暗い水辺で、私は彼を思う


「春日、あの……」


 大きく目を見開き、私を見つめてくる春日。

 その表情を見た私は、言葉を詰まらせてしまう。


「あんなヤツ、ほっといて行こうぜ!」


「うっ、うん……」


 ちょっと前まで恋人同士だった春日を、あんなヤツ、扱いする先輩。

 酷いなと思いながら、反論はしないで同調してしまう。


 棒立ちの春日に背を向けて、私と先輩は歩き始めた。


「安井先輩から、花ちゃんに告白したのかな……」


 春日の言葉を耳にしても、先輩は無言のまま振り返ろうとしない。


「そっか、そうなんだ……ふっ、ふふふ……」


 不気味な笑い声が、背後から聞こえてくる。


「絶対にゆるさない……呪ってやるわ……」



 小声で呟くような言葉に、私は恐怖を覚えた……






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