薄暗い水辺で、私は彼を思う


 学力テストは春日の助けで何とか乗り越えた。


 でも、今度の期末テストに向けての協力は頼めない。

 こんな気まずい関係になるんだったら、先輩と……


 そんな思いが脳裏に浮かぶけど、放課後、先輩の顔を見たらすぐに忘れてしまう。


「よっ、これから遊びにいこうぜ!」


「うん、いこういこう!」


 先輩と一緒にいる時間が楽しくてしょうがない。


 梅雨時の晴れ間、七夕祭りにも行った。

 浴衣を着て、一緒に出店を見て歩く。

 クラスメイトの子に見られたけど、羨ましく思われたに違いない。


 先輩は一年生の女子からも人気があるイケメン男子、注目されるのは当たりまえ。

 私が彼女だって知ると、みんなガッカリする。

 ちょっと鼻を高くして、自慢するように歩いたりもした。



 その帰り道、偶然だと思うけど……



 春日 椿に出会ってしまった……





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