✾~クールな天才脳外科医と甘~い極上の結婚を~✾
そう……この五年間ずっと何度も想像世界で彼の唇を求めてきた。

でも唇が解かれ間近で甘みを詰め込まれた瞳に覗かれて頬がカッと火照った私は、恥ずかしさの余り反射的に仰け反りうるさいほどのドキドキを知られぬよう反対を向く。


「莉子のそういうとこ可愛いよな。アラサーのくせにいまだ反応は女子校生。でも俺には、意地っ張り」


ふと視線を向けると更に甘く瞳を揺らし腰回りにキュッと腕を回された私は、胸からどんどん甘~い音色が流れ出し一気に頬が上昇した。

やだ……今夜の朝陽君、いつもと全然違う。

そう、朝陽君には素直になれずいつももどかしさを感じていた。

だって素直な私を出したら……終わる。

そう思い必死に胸に秘めてきたのに紫音はきっと気付いてた。


「これからは、素直に女の顔見せろよ」


初めて見る甘い煌めきを放つ艶やかな瞳に、口説かれてる気になる……彼の大切な(ひと)になれたと錯覚しそうになる。

……そう、錯覚。

誰よりも大切な紫音に頼まれたからだと、目の前にある婚姻届の存在を思い出した。


「やだ、何言ってるの?」


更に距離を詰める彼の胸に抵抗を示すと、一気に力強く抱き締められた。
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