✾~クールな天才脳外科医と甘~い極上の結婚を~✾
私は、夢のような気分で念入りにお肌のお手入れをし、空腹に耐えながらソファーで彼が出るのを待ち、素直な想いを伝えようと決めた。

ずっとずっと傍にいたいと……。

記憶は、そこで途切れ、そのまま寝てしまったに違いない。

ホッとするやら残念やら……。

複雑な気持ちで少し緊張気味に部屋を出ると、リビングに朝陽君の姿はなかった。

……トイレ? バスルーム?

名前を呼んでも返事はなく、慌ててテラスに出ても気配なし。

時計を見ると十時過ぎだから朝食でもない。

……まさか先に帰った?

広々としたリビングダイニングに独り泣きたい気分で立ち竦むと、ふと左側のダイニングテーブルに朝食の用意がされているのに気付いた。

同時に激しくお腹が鳴り苦笑いしてテーブルに歩み寄ると、一枚のメモが置かれていた。

"ごめん! 昨夜話しそびれた。午後から仕事。終わったら連絡する"

……走り書きでも達筆だ事。

どうやら愛想尽かされた訳じゃない事に心底ホッとし、ダイニングチェアに力無く腰掛けた。

……昨日、海から私を抱いて戻る時、当直明けから沖縄に来たと聞き、勝手に休みだと思っていた。
< 27 / 54 >

この作品をシェア

pagetop